超簡単放電器の製作

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安価で簡単にできる自動放電器の製作
 7 セル専用の放電器です。 7x500AR 、 7x600AE のどちらでも使用できます。
電池をセットして押しボタンスイッチを押すだけです。放電中は放電ランプが点灯していますが放電が完了するとランプが消え、同時に電池からの放電電流を完全にストップします。したがって放電完了後そのまま放置しておいても過放電になりません。

 何といっても特筆すべきは機能部品がたった 4 個です。しかもどこでも比較的簡単に手に入れることができる部品で作れます。

 @コイル定格が 12V リレー 1 個。今回使用したものは手持ちのもので OMRON の LY2 タイプで 12V 160 ohm のものですが、 12V 定格ならほとんどのものが使用可能です。接点の許容電流は 1A 以上流せるものなら大丈夫です。手近なところではカー用品を扱っているお店で手に入ると思います(ホーンリレー等)。
7 セル 8.V の電池で 12V 定格のリレーが動作するか心配の方もいると思いますが、このクラスのリレーはかなり低い電圧から動作します。リレーに流れる電流も 7 セルの電池ををつないだ場合 50mA 程度しか流れません。 speed 400 のモータに流れる 10A 近い電流と比べると微々たるものですね。
手持ちのリレー 5 個で実験した結果、 7 セルの電池を schulze の充電器で放電したあとの電池で 12V リレーが問題なく動作しました。

 Aリレーの開放電圧を調整するための抵抗 1 個。これは 7 セルの電池が放電末期になって 1 セルあたり約 0.9V(7x0.9=6.3V) 位になったときにリレーがちょうど OFF すればいいのですがなかなかそううまく動作してくれるリレーはありません。通常リレーは定格電圧で確実に働きますが 70% 位の電圧でも動作します。リレーがOFFする電圧は定格電圧の 30% 以下の場合もあります。リレーのコイル端子電圧が 4V 位で OFF することになるので分圧のための抵抗が必要になるわけです。今回のリレーの場合は 270 ohm(1/4W 程度)の抵抗になります。この抵抗は使用するリレーによって変わってきます。その場合は 1KΩのボリュームに置き換えて開放時のタイミングを調整できるようにすればいいと思います。

 Bバッテリに残っているエネルギーを放出するための豆球 1 個。これは抵抗でもいいのですが抵抗の場合はほとんどが熱エネルギに変換されるので放熱に対する配慮が必要となります。ランプにすれば光りエネルギと熱エネルギとに分散されるので放熱に付いてはそれほど神経を使わなくてすみます。 7 セルの場合放電電流を 600mA 程度に設定すると約 5W 程度の熱量になります。今回の場合もっとも安価で最適な豆球は、強力懐中電灯(単一乾電池 6 個用)に使われている豆電球です。家のどこかに非常用として用意してある人はランプホルダの裏側に予備の豆球がついている場合があるので調べてみてください。ない場合は電気屋さんに出かけて買い求めてください。正式な品名は「ピリケン球」といいます。種類があるので、 7.2V 0.55A(単一乾電池 6 個用)ピリケン球といって買えば間違いありません。値段は 120 円位です。

 Cプッシュ ON スイッチ 1 個。これはどんなものでもいいです。要するに放電開始時に瞬間的にリレーを強制 ON させます。どうしてもなければ線と線とを一瞬ショートさせてもいいのです。でもそれではスマートじゃないので何か用意してください。どうしても用意できない場合は近くの電気屋さんでチャイム用の押しボタンスイッチを買い求めてください。 320 円位で買えます。少し大きくなりますが実用上は問題ありません。

 先ほど 1 セルあたり 0.9V 位になったら放電を終わらせるといいましたがこの計算だと 7 セルの場合では約 6.3V になります。
 7 セルの電池は適切な放電を行った後でも、手持ちのテスタで電圧を測ってみると 8V 台を示します。どうしてでしょう。それは電池に内部抵抗というものがあり、それぞれの電池によってその値も違いますが、放電末期に近づくにつれて内部抵抗が大きくなります。その結果、ある電流を流したときに電池の端子に現れる電圧が変わってきます。この現象をうまく利用してあげれば簡単に放電器を作ることができるわけです。

  では調整の方法を説明します。Bの豆球は指定のものを使います。それ以外はたいして問題ありません。リレーについてはもし別のものを用意したなら、リレーのコイルの抵抗値が何 ohm なのか調べ (テスタでコイル間の抵抗値を計ってみます)、その 3 倍程度のボリューム(半固定抵抗)を用意してください。たとえばコイルの抵抗値が 160Ωのときは 160x3=480Ω。この値のボリュームはないので 500Ωか 1KΩのものを用意します。なければ 2KΩでも問題ありません。

 配線が完了したら電池を接続しますが、取り付けたボリュームを最小になるように回しておきます。 フライト済みの電池を放電器につないでみます。電池の+-はどちらでもかまいません。とりあえずプッシュスイッチをチョンと押してみてください。次の 3 通りの状態のどれかになると思います。

 (1)全く何の変化もない。
 (2)押したときにリレーが動作し、豆球が点灯するが、離すと消える。
 (3)リレーが動作し、豆球が点灯したままになる。

 (1)と(2)の場合は、適切に放電された状態か放電しきった場合なので、電池を 1-2 分間充電してからもう一度試してください。 (3)の状態になったら、電池の両端電圧をテスターで測ってください。放電が完了する付近の電圧は 8.4-9V 位の電圧になっていると思います。この電圧を見ていてテスタの指示が 7.9V 付近(8V-7.5V 位)になったときに豆球が消えるようにボリュームを調整します。とはいってもニッカド電池は放電末期になると急激に電圧が下がるのでちょっとコツがいります。でも心配はいりません。急激に電圧が落ちるということは、急激に豆球に流れる電流が減ることで多少の電圧差は問題なくなってしまいます。 どうして 6.3V 位にしないのかですって?それは 7.2V 0.55A の豆球を使って放電させたときは 7.9V 付近でカットするとちょうどいい放電状態になることをあらかじめ実験で求めてあるからです。

 いろいろ細かく説明しましたが特別なことは何もありません。ぜひ作ってみてください。これから永く電動機を楽しむためには必需品ですね。一つあれば安心して放電器に任せることができます。
もし仲間の方で放電器を持っている人がいたら、ぜひ作った放電器で放電した電池を放電してみてもらってください。多分数 10mAh 以内の誤差でおさまっていると思います。
 
今回のケースはたまたま昔秋葉原の「鈴蘭堂」で買ってきた 55Wx85Hx30D のものを使いました。幸い片面がアルミ板なので豆球のソケット部の径に合わせて穴をあけ、豆球を押し込んで放熱板として使いました。
サーボを買うとケースに入ってきますね。あのプラスチックケースを利用してもいいと思います。気をつけることは、放電中の豆球がかなりの熱を伴うので注意が必要です。

 schulze 充電器で放電できますが放電するだけでも親バッテリが必要です。今回作った放電器では不要です。早速いつもの「舟地蔵」にでかけて、 4 フライト分のバッテリを現場で放電してみました(写真右)。一つ目のバッテリは放電器につないだまま放っておいたのですが、自動的に放電が完了していました。二つ目のバッテリは手元で放電時間を計ってみました。スイッチ ON から 15 分後にリレーが切れました。ということは約 600mAx15min/60min=150mAh 分の電池残量があることになります。満充電のときの約 1/4 も残っていました。とするとタイマセットを 4 分で飛ばして着陸時に 5 分を指していたので 6 分ぐらいは飛んでくれそうです。といった計算が飛行現場でできるようになります。
 すなわち 1 分約 10mAh の電池残量がある計算になり、飛行時間の管理にも大いに参考になることが判りました。


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1997/10/07 inserted by FC2 system