speed 400 クラス・モータの推力測定

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speed 400 クラス・モータの推力がどの程度あるのか測定してみた
 以前 Astro 020 アンプ焼損時に、いろいろと情報をいただきお世話になった練馬の田中さんから、 Astro 020 モータの 6 セル時と 7 セル時の静止推力データをいただいていました。 7 セルでのダイレクトドライブの静止推力が 440g もあるのに驚いたものです。大変参考になるデータとして今も大切に保存してあります。
 推力を知ることは飛行機を設計する上でも大変有意義です。そこで、最も使用頻度の高い 400 クラス・モータの推力データがどこかにないかとインターネットで探してみましたが、探しかたが悪いのかみつかりませんでした。どなたかこのあたりの情報をお持ちでしたら是非教えていただけたらと思います。

 みつからないなら自分で調べるしかないと思い、簡易的な実験装置を作っておよその推力を知るための実験を行いました。たまたま今回製作した無尾翼スポーツ機は羊羹型をした胴体なので推力測定のための治具を作るのが簡単です。画像のような胴体を支持することのできる台を作ってみました。胴体後部に電池をセットし、治具の中央部に差し込みます。秤の上に飛行機を上向きに置く形になります。全体の重量を測定したあと、送信機スロットルをハイにして秤を読み取ります。 最初に測定した重量からスロットルハイの時の重量を差し引けば推力が計算できるだろうという考えです。
 木台にバルサ板で加工したものを瞬間接着剤で止めてありますが、支持台の重量が 500g 以上あります。推力で浮くこともなく、重いので、モータの反トルクを打ち消すための回り止めも必要ありません。

 とりあえず 380PH(7.2V)モータに aero-nauto 6x3 のカーボン折りペラを取付けた無尾翼スポーツ機の 7x600AE での推力を測定してみました。少しでも詳しいデータを得るため、秤と "Whatt" meter を併用します。ここでやっと "Whatt" meter 本来の出番がやってきました。今まで放電残量の確認のためだけに使っていましたから...。
この併用により、供給電圧、供給電流、供給電力、推力の 4 つのデータが同時に得られます。特にモータへの供給電力に対する推力の値が有効なデータとなります。プロペラをいろいろ替えた場合に「電力」対「推力」がモータに対する最も適切なペラを選択する場合の目安になり得ます。
ということで早速テストしてみました。ところが、モータをフルパワーで回しても推力はほとんどゼロです。よくよく考えてみると、プロペラ後流のほとんどが支持するための台座に当たっていることに気がつきました(なんて間抜けなんだろう)。そこで、段ボールを利用してプロペラ後流が直接秤に吹き降ろさないように工夫してみました(タイトル画像)。こんどはとてもうまくいきました。
 この方法に落ち着くまでに 3 回も作り直しました。プロペラ後方には何もない状態での測定が理想だと思いますが、実際には無理なのでできるだけ台座に近い位置(ペラから遠い位置)に防風壁を設けました。この方法で測定しても多少の誤差が含まれると思われます。それはプロペラの後流がそれほど遠くないところで防風壁にぶつかるため、実際の推力よりわずかに大きな値を示すのではと...。ま、個人が趣味でやれるのはこの程度になります。

 測定中動力電池の電圧が変化していくので、入力電流値だけで推力を測定することは正しくないことに ります。そこで、入力電力に対する推力を読み取ることにしました。
 380 モータといえども馬鹿にできないもので aero-nauto 6x3 カーボン折りペラを 7x600AE 電池で駆動すると初期値 290g 以上の推力があります。今回テストした機体の搭載機材合計重量を超えています。
横軸に入力電力(W)、縦軸に静止推力(g)を表す実測グラフを示します。
電池容量のほぼ半分(300mAh)ほど消費した時点での推力は 220g あります。この時点で、電源電圧 7.5V 、入力電流 8.0A 、入力電力 60W でした。このあたりでモータを回したときの効率は 55% ほどなので、モータの出力が 33W で 220g 程度の推力がある計算になります。
 オートカットが働く直前の推力は 110g でした。

 とりあえずモータ 1 種類、プロペラ 1 種類のみのデータですが、ある程度参考にはなると思います。モータの進角は工場出荷のままで慣らしは済ませてあります。
 6V モータでもテストしたいと思っていますが、思いついてすぐに試したため準備ができていません。プロペラを替えてのテストも必要だと思います。ギヤードモータについても同様、今後データを蓄積し、改めて発表できたらと考えています。


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1998/08/27 inserted by FC2 system