コアレスモータギヤユニットの製作

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コアレスモータを使ってギヤダウンユニットを製作
 WES の DC5-2.4 及び DC6-8.5 と同じモータが、日本国内で調達できるようになったので、改めてギヤダウンユニットの製作手順を画像とともにまとめてみました。

ギヤダウンユニットのプロペラ軸は 2mm になります。従ってその軸を支えるために内径 2mm のベアリングが 2 個必要になります。もっとも簡単に入手するにはミニ四駆用のパーツを利用するのが一番です。近くのホビーショップでミニ四駆用のベアリングローラーセットを調達してきました。このベアリングローラーはいろいろなメーカーで出しているようで、ベアリングが 2 個入っているものと 4 個入っているもの等いろいろありました。ベアリング 1 個あたり 200 円位になります。
ベアリングはアルミ製のホイールに圧入されています。ホイールの両面をよく見るとベアリング外側に接しているアルミが片側だけ面取りしてあります。この面取りされている側からベアリングが圧入されているので、この面を下に向け、上から直径 5mm 以下のプラスチック棒、割り箸を丸く削ったもの等をあてて上からハンマーで軽くたたけば簡単に外すことができます。
ホイールから外したベアリング。
ベアリングホルダは、プリント基板等を支持するためのプラスチック製のスペーサを使いました。カーボンロッド、薄手の真鍮パイプ等も使ってみました。このスペーサは秋葉原のパーツショップで調達した外径 6mm 、内径 3mm 、長さはいろいろあります(画像は 15mm のもの)。両側からドリルの刃を手で回しながら 5mm の内径まで広げます。初めは 4.0mm で、次に 4.5mm で、そのあと 4.8mm で、最後に 5.0mm で深さ 2.5mm になるように広げました。左が加工前の状態、右が加工後です。
両側からベアリングをはめ込んで瞬間接着剤で固定し、軸受けの完成。
プロペラホルダを 0.8mm ピアノ線と「チュウキン」の平ギヤセット(後述)に入っている 10 枚歯のピニオンギヤを使って作ります。ピアノ線は長さ 60mm 程度に切ったものを用意して、直径 3mm 程度の硬い丸棒に当てて画像のように U 字形に曲げます。
U 字形の半円部分を万力かペンチに挟んで 90 度曲げます。
ピニオンギヤを挿入してみます。
ピニオンギヤを奥まで押し込んで、2mm シャフトをあとで挿入してもピアノ線が当たらないことを確認します。
ピニオンギヤを奥まで押し込んだときにピアノ線を曲げたコーナーがピニオンギヤの歯に当たるので、当たる歯の部分をカッタナイフで削り落とします。
ピニオンギヤの端面にピアノ線がこのように密着するようにします。
ピニオンギヤの上面と同じ高さになるようにピアノ線を外に曲げます。ピニオンギヤをはめたままペンチで挟んで指で広げると左右同じ高さで広げることができます。
プロペラを止める輪ゴムのはずれ防止のため、ピアノ線の途中をもう一度外側に曲げます。
曲げた先を 3mm ほど残して余分なピアノ線を切断し、ヤスリで切断した端面を滑らかに仕上げます。これでプロペラフックの完成。
プロペラシャフトには 2mm のカーボンロッドを使います。今回のギヤユニットには長さ 45mm に切断したものを使いました。切断の際注意することは、鋸のような歯で切るとカーボン繊維が切った端からほつれてしまうので、三角ヤスリでカーボンロッドを回しながら少しずつ削って切ります。切ったあとの仕上げもカーボン繊維に沿った方向にヤスリをかけて仕上げます。スパーギヤを圧入してからプロペラフックをスパーギヤに当たるまで圧入します。あとはベアリングホルダにカーボンシャフトを圧入してプロペラホルダの出来上がり。
ミニ四駆用のピニオンギヤを使う場合は 2mm の軸用にできているので、DC5(1.0mm) 及び DC6(1.5mm) にはそのまま取りつけることができません。 DC5 モータにピニオンを取り付ける場合は 0.8mm プッシュロッドのガイドパイプを 5mm ほどの長さに切ります。内径が 1mm より細いのでドライヤーで暖めながら押し込みます。電源をつなぎ、モータを回しながら外径が 2mm になるまで平ヤスリをかけます。ピニオンギヤをあてて無理な力を加えなくても押し込める程度に仕上げます。コアレスモータは軸方向に力をかけ過ぎないように注意します。最後に瞬間接着剤で固定します。画像は 1mm 軸のキーエンスのモータにミニ四駆用の 8 枚歯ピニオンを上記の方法で取り付けたものです。
あらかじめ真鍮製のピニオンギヤがついていて、モジュール、歯数の違いで利用できない場合は、上記と同様にモータを回しながら外径が 2mm になるまで不要なギヤを平ヤスリで削り落とします。ピニオンの長さに余裕があればピニオンギヤのモーター側の一部分を残して削ると、新たなピニオンギヤを圧入する際テコとして利用できます。画像は DC6 モータにあらかじめついていた真鍮製のピニオンを削ってミニ四駆のピニオンを圧入するところです。
専用の真鍮製ピニオンギヤを取り付ける場合は。ピニオンの内径がモーターの軸より若干大きめにできているので、嫌気性接着剤で取り付けます。モータメーカではセメダインの EP171 を推奨していますが、ラジコンヘリコプタに使用する嫌気性ネジロックでもいいと思います。シリコン系のボンドサイレックスも使えます。この方法で組んだユニットを FunFan に搭載していますがまったく問題ありません。画像は DC6-8.5 モータ(軸径 1.5mm)に 8 枚歯の専用ピニオンをボンドサイレックスで固定したものです。
ピニオンギヤとスパーギヤの適切な間隔を保つためにバルサブロックを使います。モータ側に接する面を削るには、モータの直径と同じか一回り細い筒状のものにサンドペーパーを巻きつけてバルサブロックを削ります。画像はドリルの軸にサンドペーパーを巻きつけて 12mm のモータ径に合うようにブロックを削ったものです。ベアリングホルダ側も同様に削りながらピニオンとスパーギヤの間隔を調整します。
モータとベアリングホルダの間にバルサブロックを挟んでピニオンとスパーギヤのかみ合わせを確認します。クリアランスが適切ならその状態で、バルサブロックのモーターとベアリングホルダーに接する面に瞬間接着剤を流して固定します。今回は DC6-8.5 モータに 8 枚歯ピニオンギヤと 44 枚歯スパーギヤの組み合わせで 5.5:1 のギヤユニットを組み立ててみました。画像の状態で完成重量が 19g になります。この黒い 44 枚歯のスパーギヤはミニ四駆のパーツセットとして販売されている部品から外したものです。
「チュウキン」というところから 5 種類の大きさのギヤが入った平ギヤセットというのが 100 円で買えます。このセットには 10 枚歯のピニオンギヤ 2 個と 30、42、48、54、60 枚歯のスパーギヤがそれぞれ 1 枚ずつ入っています。これらのギヤを組み合わせれば実用範囲のギヤ比をもつユニットを作ることができます。 DC5-2.4 モータでは 6 枚歯ピニオンと 48 枚歯のスパーギヤの組み合わせで 8:1 のギヤユニットが、54 枚歯のスパーギヤとの組み合わせで 9:1 のギヤユニットができます。

 DC-5-2.4 及び DC6-8.5 コアレスモータは進角がついていないので逆回転で使用することもできます。後者のモータは左回転なので今回組み立てたギヤユニットでは逆回転で使用しています。

 プロペラに WES のカーボンプロペラを使う場合は、穴がテーパになっていて 2mm のカーボンシャフトに押しつけるだけの構造なので、プロペラホルダを作る必要がありません。簡単な反面飛行中にプロペラが外れてしまうこともあるということで、やや不安があります。今のところ国内で調達できるのは 23cmx12cm のプロペラだけで、価格も 6000 円します。もっとも安価に済ませるなら、UNION のゴム動力用のプラスチック製プロペラが使えます。 18cm 、21cm あたりのものを使うことになると思いますが、直径に対してピッチが大きいのでそのまま使うと低速時の効率が多少悪くなることが考えられます。ブレードの幅を削って狭くすると多少改善できるという話も聞いています。いずれにしてもこのあたりは情報も少ないので、いろいろと実験してデータを集めるしかありません。 18cm ペラでは穴径を 2mm に広げる必要があります。21cm ペラは 2.6mm 程度の穴があいていたのでチューブをはめて 2mm の内径にしました。

 私は自作ペラとゴム動力用ペラのどちらでも使えるようにプロペラホルダを加工しました。カーボンロッドは厳密には丸くないのとインチサイズ (0.08"=2.03mm) なのでプロペラフックとスパーギヤは圧入しただけで、空回りするようなことはありません。ベアリングとベアリングホルダを瞬間接着剤で固定してあればこちらも圧入しただけで大丈夫です。ノーズから着地したときにカーボンロッドが後部に逃げてくれるのでかえって都合がいいようです。

「チュウキン」というメーカから発売されていた平ギヤセットは、その後製造が中止しされていてしばらく入手できない状況が続きました。インドアプレーンには欠かすことのできないギヤセットだったので困っていましたが、現在は「レインボープロダクツ」というメーカーから同じ平ギヤセットとして再発売されています。価格は税込みで168円と少々高くなりましたが、近くのホビーショップに注文すれば取り寄せてもらうことができます。

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1999/09/12
2004/10/20 レインボープロダクツの平ギヤセット情報を追加 inserted by FC2 system