MicroMag System について

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インドアエアプレーン用に開発された超軽量な受信機・サーボ・スピコンのシステム
 オランダの Rick Ruijsink が開発したシステムで、超軽量 RC システムの部類に入ります。このシステムは Dynamics Unlimited のシステムと同様、サーボにマグネットアクチュエータを使っているのが大きな特徴です。

 受信機は 3 チャンネルの FM 受信機と 2 つのマグネットアクチュエータドライバーが組みこまれていて、 250mm のアンテナ線を含む重量が 1.8g しかありません。一般に使われている FM 送信機を使う事ができ、 100m 以上の通達距離があります。電源電圧は 2.2V まで動作するのでニッカド電池かニッケル水素電池を使う場合は 2 セルで、リチウム電池なら 1 セルで十分動作します。受信機帯域幅は標準の受信機ほど狭くはないようですが 20KHz 離れていれば大丈夫ということです。

 受信機には自動的にスロットルチャンネルをセットする機能とニュートラルスティックポジションをセットする機能が組みこまれています。この機能によりどのメーカの FM 送信機でも使うことができます。

 スピードコントローラは専用に開発された同梱の物を使います。通常のサーボも、一般的なコントローラも使うことはできません。

 マグネットアクチュエータは 0.7g と 1.7g (画像) の2種類あり、前者は飛行重量約 35g まで、後者はおよそ 60g までの飛行機を飛ばすことができます。
一般のサーボのようにフィードバックがありません。トルクが弱いのでエレベータはその面積の 20-25% にラダーは 25-30% にしてヒンジの動きは極力軽くします。マスバランスも必要です。

 以下に取り扱い説明書に記載されている仕様を載せてみました。

MicroMag  

Receiver

ESC

μ-Mag actuator

Mini-Mag actuator

KR-1 4.2:1 motor

Operating Voltage

Volt

2.2-4.8

2.2-4.8

2.2-4.8

2.2-4.8

2.2-4.8

# of Nicad Cells

#

2-4

3-4

2-4

2-4

3-4

Weight

Grams

1.8

0.5

0.7

1.7

6.6

Size

mm3

16x18x4

10x10x4

φ8x3.5

φ12x5.5

25x20x12

Antenna Length

mm

250

       
Motor current

A

 

1.5

   

〜0.8

BEC    

Integrated

     
Coil resistance

Ω

   

108 Ohm

100 Ohm

 
Control force @ 3 Volt

Grams

   

2

3

 
Arm

mm

   

5

7

 

 従来のサーボはモータ、アンプ、ポット、ギヤ等を組み合わせてつくられているため軽量化にも限界があります。モータを使ったサーボで最も軽量なものはドイツの WES-Technik が販売している LS-2.4 でケーブルを含む重量が約 3g です。トルクは 200g ほどあります。マグネットアクチュエータの機能部品はコイルとマグネットだけという単純な構造のため軽く作る事ができます。円筒状のコイルの中心に磁石を置き、コイルに流れる電流で磁石の向きが変化することを利用して動翼のコントロールを行います。モータを使ったサーボのようにギヤで減速するような構造を持たないためトルクは非常に小さく、2-3g しかありません。重量は 0.7-1.7g と軽量です。

 マグネットアクチュエータの動作はモータを使用したサーボと異なりフィードバック回路を持たないため送信機のスティック操作とアクチュエータの舵角は比例しません。スティックの舵角に応じたパルス幅の断続電圧をコイルに印加しているだけです。スティックがニュートラルの時はコイルに電圧が印加されないため、コイルとマグネットはフリー状態です。モータサーボのようにニュートラルを保持するという感覚ではなくぶらぶら状態なのです。MicroMag のアクチュエータはこのぶらぶら状態を回避するように巧みなニュートラル保持方法が採用されています。2 つのマグネットアクチュエータがある間隔で並べられていて、お互いのマグネットが引き合う力を利用してニュートラルを保持しているのです。コイルの中心に置かれたマグネット中央の穴には軸が通してあり、マグネットはコイルの磁力を受けてこの軸を中心に回転力が発生します。この回転する力とお互いのマグネットが引き合う力のバランスした回転位置でマグネットが止まるわけです。マグネットにはホーンが貼りつけてあり、このホーンに動翼を連結して使うわけです。モータサーボと同じ感覚で使うことができます。

 受信機は驚くほど小さく合理的にまとめられています。一般にこの手の超小型受信機は隣接バンドによる影響を受けやすいのですが、この受信機には超小型の同調コイルも使われていて、隣接バンドの影響をほとんど受けません。しかもアンテナ線の長さは 250mm と短いのです。マグネットアクチュエータドライバとスピードコントローラ制御部が含まれていますが 1.8g と大変軽量です。高周波による受信機への影響を避けるためスピードコントローラは別基板に組みこまれていますがこちらも 0.5g しかありません。1.5A とこのクラスでは十分な出力があります。システムの合計重量は約 4-6g になります。驚くことに送信機の種類を選びません 3 チャンネル以上の FM 送信機なら使えます。Futaba でも JR の送信機でも自動認識してスロットル、エルロン、エレベータを割り当てます。スロットルのスロー位置における受信パルス幅を検知して自動的に割り当てられているようです。Futaba の送信機を使う場合はあらかじめスロットルをリバースに設定しておく必要があります。そうしないとうまく自動設定できません。
また、送信機のトリム調整をした場合、次回受信機の電源を投入したときに、送信機のトリムを含めて受信機側でニュートラルとして設定してしまうので注意する必要があります。

 ニッカド電池の場合は 2-4 セルで使うことができます。50mAh 容量の電池を使うのが一般的ですが、飛行時間を延ばすために Tadiran リチウムメタル電池も盛んに使われています。


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2000/08/11 inserted by FC2 system