そこでなんとかそのままで使えるギヤユニットが作れないか考えてみました。モータ軸を後向きにつけたギヤユニットを作れば正転のままで使えるわけです。ところが QRP のユニットを使って改造しようとすると、プロペラシャフトがモータカンと干渉する位置にあるため具合がよくありません。 Astro 020 モータの外径が 24.2mm 、ベアリングの内径が 4mm なので、モータの軸からプロペラシャフト中心まで 14.5mm 以上離れている必要があります。
できるだけ静止推力を大きくしたいのでギヤ比も大きくしたいと思います。 Astro 020 のシャフトは 3.17mm なので QRP のピニオンは使えません。手元に 3.17mm 内径の 14T と 15T ピニオンがあります。 14T ピニオンを使うとしてスパーギヤは 44T 以上ないと 14.5mm 以上の間隔になりません。 QRP のスパーギヤは 4 種類ありますが最も多い歯数のものが 40T です。 0.5 モジュールの 400 クラスで使えそうなギヤとなるとなかなか見つかりません。そう思っていた矢先、QRP のユニットに使われているものと同一規格の 45T と 48T のスパーギヤを、垣内さんが持っているということで分けていただきました。結果的に 45T と 14T ピニオンの組み合わせで 3.2:1 のギヤ比にしました。モータ取付け穴をわずかに広げればモータが取り付けられるぎりぎりの歯数を選んだわけです。ベアリングの内径 4mm とプロペラホルダの穴径 4mm に合わせて 4mm カーボンパイプをプロペラシャフトに使いました。スパーギヤの穴径は 5mm なので 4mm に合わせるためスペーサを加工してはめ込み、シャフトにセットした状態で2mmのタップをたててねじ止めしました(ギヤ部の画像)。プロペラホルダはセットスクリューで締め込む方式なのでカーボンパイプのままでは弱いと考え、 2.6mm の長めのネジをエポキシ接着剤と共に中心の穴に埋め込みました。無垢のカーボンシャフトがなかったのでカイト用のカーボンパイプで間に合わせました。
QRP ギヤユニットのプレート穴を大きくしたり、穴位置を少しずらしたりして 2 枚のプレートを、長さ 50mm 外径 6mm の樹脂製筒形スペーサ 4 本を使い、 3mm のロングスクリューでユニットを組み立てました。ギヤユニットの機体への取りつけ方法はグロメットを使う QRP と同じ方式にしてみました。モータとコントローラを含んで 120g になりました。プロペラセットが 24g あるので全体で 144g になります(後からの画像)。
実はこのユニット、以前から電動飛行機でトルクロールのできる飛行機を作りたいと思っていた夢を実現させる第一歩として作ってみたわけです。エンジン機の場合、トルクロールをするためには自重の 30% 増ぐらいの推力が要るそうです。 400 クラスの電動機で全備重量を上回る推力をひねり出すのは容易なことではありません。今回作ったユニットはどの程度の推力を出せるでしょうか。