Astro 020P ギヤユニットの推力測定

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改造した Astro 020P ギヤユニットの推力を測定
 推力測定には今まで 400 モータダイレクトの推力が測定できる程度の簡易的なものを使っていました。今回のユニット測定にはとても耐えられそうもないので、新たに推力測定装置を作りなおしました。以前はプロペラを上向きにセットして測定しましたが、今回は下向きにセットする方式に変更しました。プロペラ後流の影響がほとんどなくなるのでより正確な推力を測定できると考えたからです。取り付けるモータの推力軸と支持柱との間はプロペラ半径以上のオフセットを必要とするため、ある程度頑丈に作ってみました。

 タイトル画像が推力測定装置(クローズアップ画像)です。デジタル秤の上に載せてありますが、中央に "Astro Super Whatt Meter" をセットして供給電圧、供給電流、供給電力、供給容量を同時に読み取ることができるようにしてあります。右側は受信機で、左側に取り付けたユニットのコントローラからのケーブルを受信機のスロットルポジションに差し込んであります。バッテリは支持柱にテープで止めます。推力測定は送信機のスロットルをコントロールして行います。デジタル秤のスイッチを入れると載せられている重量がキャンセルされて 0g 表示になるので、モータが回っているときの指示値を読み取ればそのまま静止推力の値となります。個人的にはテスタも含めてアナログ式のほうが好きなのですが、載せた重量がキャンセルされる点ではデジタルに分があります。

 はじめモータユニットにグラウプナーの 9x5 CAM-prop を取りつけて、手に持った状態で 8x500AR 電池で回してみました。初期値 13.0A 、 8700rpm 、 100W 入力でした。

 次にできあがった推力測定装置にモータを取り付けて、はじめに 7x600AE 電池で推力を測定してみました。初期値 10.1A 、 7600rpm、 76W 、静止推力 476g でした。オートカットが働く直前の推力は 350g でした。オートカットが働くまでに消費した電池容量は 400mAh でした。

 いよいよ本命である 8x500AR 電池での推力測定です。初期値 12.7A 、 114W 、静止推力 575g で、安定時 12.0A 、 101W 、静止推力 550g でした。こちらもオートカットが働く直前の推力は 350g でした。オートカットが働くまでに消費した電池容量は 420mAh でした。電池残量が半分になったときにスロットルスティックを中にしたときのデータはこちらでこのときの推力は 336g でした。オートカットが働く少し前 (残容量約 20% 時) にフルスロットルにしたときのデータはこちらです。フラッシュ撮影のためプロペラが止まっているように見えます。

 8 セルの電池はテストのために調達した 1 本だけしかないため、テストを行った後放電させておき、翌日充電して再度推力の測定を行ってみました。初期値 13.9A 初期推力 595g を確認しました。有効に使うことのできる容量の 3/4 を消費する間 500g 以上の推力がありました。

 本命である 8 セル時の初期推力が 575g 以上あり、安定時に 550g の推力が確認できたので、この推力に見合う機体を作れば電動飛行機によるトルクロールも夢ではないと思うのです。安定時を基準に 30% の余裕推力を考慮すると全備重量 420g の飛行機を作らなければなりません。25% の余裕推力なら全備重量 440g 、20% の余裕推力なら全備重量 460g の飛行機を作ればいいことになります。

 以前作った FunFly2 が 7x600AE 電池を搭載して全備重量 440g であることを考えれば、ある程度の余裕推力で作ることはそれほど困難ではないように思えます。今回のパワーユニットにより、推力 > 全備重量の可能性が見えてきました。 トルクロールへの夢に一歩近づいた感触は大きな成果です。カタログに掲載されているテストデータでは 17A の電流を流していることから、もう少しパワーを引き出すことができそうです。今後ギヤ比、プロペラ、セル数等の適切な選択により、更に多くの推力が引き出せるよう実験を重ねてみたいと思います。

■追加情報
 少しでも大きな静止推力を確保したいと思い、 10x8 CAM-prop を調達してきました。負荷が大きくなるのでとりあえず 7x500AR で回してみましたが、電流は 18A を超えてしまいました。そのときの回転数は 5700rpm でした。このペラを使うにはギヤ比の見なおしが必要です。


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2000/11/07 inserted by FC2 system