インドアエアプレーン用バルサプロペラの製作

[Index]


バルサブロックからインドアエアプレーンに使うプロペラを製作
 カーボンクロスで自作したプロペラは 9x5 で 2.5g とかなり軽量で、実際の使用においても強靭で申し分ない性能を発揮してくれています。以前 160mm までの大きさのバルサプロペラは何本か作りました。
 横須賀の飛行会に参加するとバルサブロックから削り出してプロペラを作る名人が何人かいます。他のどのペラよりも軽く、剛性も適度にあっていいのですが、大きなプロペラを削り出して作るとなると簡単ではないと思われます。

 ガラスクロスとカーボンクロスを使って自作したプロペラは、市販されているプロペラから型をとって作るため、サイズとピッチが限られてしまいます。それに雌型を作る必要があるなど作業にかなり手間がかかります。また、軽く作れるとは言え 9x5 プロペラで 2.5g 程度が実用強度から軽さの限界と感じます。インドアエアプレーンで使用するプロペラは軽いほどいい結果が得られます。そこで名人には及ばないものの、バルサブロックから 10x5 と 9x5 のバルサプロペラを作ってみることにしました。

 材料は大変古い 60 のキットの中から厚さ 15mm のバルサブロックを見つけて、幅 28mm 長さ 250mm と 幅 28mm 長さ 230mm の 2 つのブロックを切り出しました。比重を計算したところ 0.15 とかなりハードです。

 以前久保さんからいただいたプロペラの作り方というプリントを参考にして、はじめに 10x5 のプロペラを作ってみました(タイトル画像)。できあがったバルサプロペラは 1.9g と軽量でした。製作途中の画像を撮らなかったので、 2 本目の 9x5 バルサプロペラ製作過程をデジカメしてみました。

 まず切り出したバルサブロックの中心にプロペラの軸穴を空けますが、この穴が曲がるとプロペラのトラッキングが合わなくなるので気をつけないといけません。私は小型のボール盤に 1.9mm のドリルを取り付けて中心に穴を空けました。この状態でモータユニットの軸( 2mm カーボンシャフト)を押し込んでトラッキングを確認します。ずれがあれば軸の押し込み方を加減してトラッキングが合うようにします。いったん軸を抜き取って、バルサの穴に低粘度瞬間接着剤を少しだけ染み込ませ、 1.9mm のドリルでもんでから再度モータユニットの軸をに圧入します。このようにして軸穴の強化を行いトラッキングを合わせておきます。

 プロペラ先端部の厚さを決めるために、表から P/D=0.5 の 0.16 を読み取り、 28mmx0.16=4.5mm の厚さになるよう端面に印しをつけ、中心からプロペラ先端に向かって 30% 位置から先端の印までクサビ形に削ります。次に中心部にくびれをつけます。続けてプロペラの厚み方向にくびれをつけ、中心部の厚さを 10mm になるように仕上げます。

 まずブレードの裏側を削りますが、クサビ形に整形したブレード部分を対角にそってカッタナイフで削りながらピッチをつけていきます。ある程度まで削ったらサンドペーパーで滑らかになるように仮仕上げします。視点を変えるとこんな感じです。ブレードの前縁部と後縁部を結ぶ対角に沿うように削ることによってブレード各部のピッチが同じ、ヘリカルピッチプロペラを作ることができます。中心から 30% 以内の部分は適当に整形します。 30% 位置における P/D=0.5 の H/W は表から 0.53 ですが、切り出したバルサブロックは幅(W)が 28mm 、高さ(H)が 15mm なので H/W=15/28=0.53 となり、中心から 30% 位置がちょうど P/D 値 0.53 となるわけです。

 ブレード表面にはキャンバをつけます。裏面同様ある程度まではカッタナイフで荒削りしたあとサンドペーパーで仮仕上げします。この時点ではまだブレードの形状が決まっていません。

 ブレードの形状はいろいろありますが、今まで使って大変効率の良い Slim prop の形状に似せてみました。外径を仕上げたあと表面はキャンバーをつけるように仕上げ、裏面もアンダーキャンバをわずかにつけました。中央部分もある程度滑らかに仕上げました。 9x5 バルサプロペラの完成(手前)です。軽いブレード側裏面に低粘度瞬間接着剤を染み込ませてバランスをとりました。

 強度を持たせるために全体に薄く塗装をしてもいいと思いますが、今回は軽さを重視して塗装はしないことにしました。丈夫にすればそれだけ重くなってしまいます。 9x5 のプロペラで完成重量 1.7g になりました。同サイズのカーボン自作ペラより 0.8g 軽くできました。剛性も申し分ありません。

 初めてバルサブロックからプロペラを作ったときは、とてもプロペラなんか削れないと思っていましたが、何本か手がけてみるとそれほど難しくないと感じられるようになりました。一本一本サイズとピッチの違うプロペラを作る場合はバルサブロックから削り出すのが一番のようです。比重が小さいので中心部に近いほど厚みを持たせることができ、剛性バランスの点でも、イナーシャの少なさにおいてもバルサプロペラのほうが優れています。

 今回製作した 9x5 のバルサプロペラは DC5-2.4 8:1〜9:1 のユニットに、 10x5 バルサプロペラは DC5-2.4 10:1 のユニットに取り付けて Ni-Cd 7-8 セルでのドライブにマッチしていると思われます。 9x5 バルサプロペラは早速 "FunFan" につけて飛ばしてみたいと思っています。

 参考までにインドア電動飛行機に使えそうな P/D 値の「ヘリカルピッチプロペラのブレード位置(R/R0)とその H/W 値」を抜粋してみました。
R0 はブレード中心から先端までの長さ。 R は中心から任意の点までの長さ。 H/W=P/2πR 。

 

R/R0 P/D= 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8
0.00 H/W= - - - - - -
0.10 H/W= 0.95 1.27 1.59 1.91 2.23 2.55
0.20 H/W= 0.48 0.64 0.80 0.95 1.11 1.27
0.30 H/W= 0.32 0.42 0.53 0.64 0.74 0.85
0.40 H/W= 0.24 0.32 0.40 0.48 0.56 0.64
0.50 H/W= 0.19 0.25 0.32 0.38 0.45 0.51
0.60 H/W= 0.16 0.21 0.27 0.32 0.37 0.42
0.70 H/W= 0.14 0.18 0.23 0.27 0.32 0.36
0.80 H/W= 0.12 0.16 0.20 0.24 0.28 0.32
0.90 H/W= 0.11 0.14 0.18 0.21 0.25 0.28
1.00 H/W= 0.10 0.13 0.16 0.19 0.22 0.25

[Index]
2000/12/17 inserted by FC2 system