Futaba FP-R113iP PCM 3 チャンネル受信機の 9 チャンネル化

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Futaba の 小型軽量な PCM 3 チャンネル受信機を 4 〜 9 チャンネルに改造
 以下の改造についてはあくまでも自己の責任において行います。はんだ付けに自信のある人なら簡単に多チャンネル化することができます。

 10 年以上前に PCM 受信機をエンジンヘリに搭載したことがあったのですが、受信機に外れたのか一瞬ホールドが働いてしまうような症状が頻繁に起き、ホバリング練習で何度も怖い思いをしました。メーカに送って何度か点検してもらいましたがその症状は一向に改善されず、それ以来 PCM 受信機を使わなくなりました。

 現在は FM 受信機を使っていますが FM 受信機では条件によって一瞬動作が不安定になることがあります。搭載機材からのノイズによる影響なのか、特定の空域における問題なのかはっきりしませんが、何かあるよということを操縦者に知らせているわけで忠実な動作をしているわけです。しかし、飛ばしていて一瞬エレベータがダウンに入ったりするとドキッとします。このごろ PCM 受信機で不具合があるという話も聞かなくなったのと、一瞬受ける受信障害には PCM のホールド機能も効果的と思われるので、そろそろ PCM 受信機を使ってみてもいいかなという気になりました。手元に 9 チャンネルの PCM 受信機があるのですが 46g と重くて大きく、とても電動飛行機に搭載する気になりません。できれば軽量な受信機を使いたいと思い、Futaba で最も小型軽量な FP-R113iP PCM 40MHz 3 チャンネル受信機 (21g) を多チャンネル化してみることにしました。

 早速オシロスコープを使ってデコーダー出力を調べてみました。9 チャンネルの送信機でテストしましたが、 IC のピンからすべてのチャンネルが出力されていることを確認できました。多チャンネルへの改造は、以前改造した Futaba FP-R113F FM 受信機よりはるかに簡単です。

 この FP-R113iP 受信機も FP-R113F 受信機と同様地上用として販売されていますが、多くの人が飛行機に搭載して問題なく飛ばしています。また飛行距離においても全く問題ないということです。

 9 チャンネルまでの受信機として改造できることが確認できましたが、今回は 540 クラスの電動ファンフライ機に搭載してラダーを操作するための 4 チャンネル目と、エルロンサーボを左右独立して操作するために必要な 6 チャンネル目を増設してみます。同様の方法で必要なチャンネルを簡単に増やすことができます。

 では改造の方法を以下順を追って説明します。

まずケースを外します。上下 2 枚の基板で構成されていますが上の小さな基板に載っている四角い IC の一辺にデコーダ出力があります。
デコーダ出力は 1 〜 9 チャンネルまで順序良く並んでいます。
4 チャンネル目は受信機の B/C コネクタ(画像の一番下のコネクタ)を利用できるようにするため、画像矢印の銅箔部分をカッターナイフ等で切り離します。切り離した右側の銅箔表面の保護膜を半田付けできるようにはがしておきます。後でこの銅箔に 4 チャンネル目のデコーダ出力からの配線を半田付けします。
IC のピン間隔が狭いので半田付けには細心の注意が必要です。チャンネルを増設する際に利用できる電源のプラス位置とグラウンド位置を画像に示しました。
4 チャンネル目と 6 チャンネル目を増設するための接続を示します。コンデンサはなくても差し支えありませんが、 IC のピッチが狭いため直接リード線を取り出すのが難しいので、コンデンサの足を IC のピンに半田付けしたあと、その足にリード線を半田付けすると楽に半田付けができます。
上図に示した配線図のように 6 チャンネル目だけを別に取り出す場合には右側の Futaba 延長コードを適当な長さに切って使うと便利です。その場合は延長コードの白を [S] に、赤を [+] に、黒を [G] に接続します。受信機ケースに収めて使う場合はこの方法で増設します。ケースに若干の加工が必要ですが、加工については R113F 受信機の 8 チャンネル改造記事を参考にしてください。今回はケースに収めないので、左側にある GWS 受信機から外したコネクタを中央のように加工して受信機に直接取り付けてみることにしました。
GWS の 72MHz 4 チャンネル受信機をインドアで使うために取り外したL型コネクタを使ってこのような形に組みました。
受信機のパターン部分を絶縁するため、コネクタの当たる部分に絶縁テープを張って画像のように増設するコネクタを沿わせて瞬間接着剤で固定した後、手前 2 本のピンを基板に半田付けします。この半田付けで 6 チャンネル目のサーボに電源を供給できるようになります。信号ピンだけ向きを変えてありますが、あとで 6 チャンネル目のデコーダ出力からの配線をこのピンに半田付けします。
4 チャンネル目のデコーダ出力からの配線を基板の下を通して○印に半田付けしたため、パターンのカット位置を○印に変更しました。画像では既に 4 チャンネルと 6 チャンネルの配線が完了しています。 6 チャンネル目の配線は上の基板に穴をあけて配線を通してから増設したコネクタの信号ピンに半田付けしています。
IC の出力ピンが細いので 0.1μF のコンデンサの足を 4 チャンネル目と 6 チャンネル目の IC のデコーダ出力ピンに半田付けして、そのコンデンサの足にコネクタへの配線を半田付けしています。手軽に入手できる電動モータのノイズキラーコンデンサを使ってみました。コンデンサの足は基板上の部品と接触しないように浮かしています。 IC のピンにコンデンサの足を半田付けするとき、隣のピンとショートしないように気をつけます。
今回はケースに収めないのでコネクタと X-tal にかからないようにシュリンクチューブで保護しました。アンテナ線も少し細いものに交換しています。X-tal 込みで 14.6g の軽量な PCM 5 チャンネル受信機ができあがりました。

 改造した受信機は距離テストのために、 "ビーグル・モス" に搭載してみました。あらかじめフェールセーフ設定はスロットルをストップする位置セットしました。ラダーとエレベーターはホールドのままです。上空へは緩やかな旋回をさせながら上昇させ、万一通達距離圏外になった場合にモータがストップして緩やかに旋回しながら高度を下げるという想定です。距離テストを行ってから記事を掲載する予定でしたが、度重なる天候の悪さで距離テストはまだ行っていません。アンテナ線の長さが 49cm と短いので小型機への搭載が楽になります。

距離テスト情報の追加
 ようやく改造受信機のテスト飛行を行うことができました。かなり高度を上げて通達距離に問題がないのを確認したあと、今回は送信機の10段あるロッドアンテナを思い切って3段の長さまで縮めてみました。 PCM 受信機なので通達距離圏外にあってホールドが働いていても気が付かない可能性があるため、アンテナを縮めた状態で頻繁に左右の舵を打って反応を確かめました。全く問題ありません。ついでに大きく左旋回する状態で送信機の電源を切ってみました。ゆっくり左旋回しながら緩やかに降下してきました。送信機の電源を入れ直して正常飛行に戻り、 FP-R113iP PCM 受信機のすばらしい感度を確認することができました。これで安心して軽量な受信機を電動飛行機に搭載することができます。

距離テスト追加情報その2
 その後、前回より更に上空での通達距離テストを行いました。前回同様 ビーグル・モス に搭載した状態で機体の状況が確認できるぐらいの高度まで上昇させ、今度は送信機の10段あるロッドアンテナを1段だけの長さまで縮めてみました。頻繁に左右の舵を打ってその反応を確認しましたが全く問題ないことが確認できました。


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2003/03/10 inserted by FC2 system