リチウムポリマ電池の取り扱いについて

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リチウムポリマ電池をインドアエアプレーンの動力に使うための注意点
 最先端技術を結集して作られた高密度高容量の軽量なリチウムポリマ電池が個人レベルでも入手できるようになってきました。従来の Li-Ion 電池と同等の取り扱いに加えて、 Indoor-plane の動力として使う際に注意すべき点をまとめてみました。

 今回調達したリチウムポリマ電池は 140mAh の容量を持ちながら 3.6g と今までにない軽さです。公称電圧は 3.7V と一般に使われている Li-Ion 電池の一部の公称電圧と同じです。 50mAh のニカド電池 1 セルとほぼ同じ重量で 3 セル分の電圧があり、 2.8 倍もの容量があります。

 充電電圧は 4.2V と従来のリチウムイオン電池と変わりません。 1C の電流で充電でき、最大放電電流は 2C までとなっています。このあたりも従来のリチウムイオン電池と大きな違いはないようです。

 従来のリチウムイオン電池は外装が丈夫なアルミ深絞りの缶でできていましたが、今回入手したリチウムポリマ電池はアルミ箔の外装です。見た目はレトルト食品の外装と同じようです。

■内部の電解質の溶媒は非常に有毒なので眼や皮膚に付着することのないよう取り扱いに気をつけないといけません。万一付着したときはできるだけ速やかに大量の流水で洗い流します。

■電池は他の金属類と一緒に保管しないようにします。アルミ箔外装なので被覆が破れる恐れがあり、危険な状態になる場合が考えられます。

■電極をショートさせないように気をつけます。当然ですね。発熱して大変危険です。

■専用の充電器以外では絶対に充電しない。従来のリチウムイオン充電器でも充電電流が設定できるタイプなら充電できますが、その場合は 1C (130mA) を超えない充電電流に設定します。

■4.20V を超える充電電圧は絶対に加えてはいけません。

■過放電にならないように気をつけます。電池の端子電圧が負荷をかけた状態で 3.0V 以下にならないようにします。飛行中に 3.0V を切る可能性があるので、飛行可能時間を予め計算して十分に余裕のある時間内に使用を止めるように管理する必要があります。

■電池を保存するときは過熱の可能性のある場所を避ける。

■規定以上の過大な電流で使用しない。電池の寿命が極端に短くなります。

■完全放電した状態で保存しない。少なくとも半分程度の容量がある状態で保存する。できれば充電してから保存しましょう。知らぬ間に過放電になってしまったということのないように。

■通常の充電時間を大幅に経過しても充電が完了しない場合は、電池の損傷が考えられるので、即時その電池の使用をやめましょう。

■電池電極はマイナス電極にニッケルが使われ、プラス電極にアルミニウムが使われています。プラス電極は配線の半田付けを可能にするため、外部に引き出されたアルミリボンにニッケル薄板が貼り付けられています。そのためにプラス電極を折り曲げるときは付け根部分にストレスが集中するので、折れやすく弱いので特に注意が必要です。

■絶縁コーティングされていると思われるアルミ外装もテスタで測ってみると一部導通が認められました。電極は外装に触れないように注意します。

 電池の取り扱い上注意すべき点は他にもあると思われますが、常識的な範囲と上記注意を守れば、従来のリチウムイオン電池と同様安全に使えると思います。容量の少なさから大電流放電に向かないので、従来のリチウムイオン電池に替えて使用する場合は、くれぐれも消費電流をきちんと確認してから使う必要があります。

 今回の電池では 2C すなわち 260mA 以上の電流を流しつづけると電池寿命に大きく影響してくることが考えられます。短時間では 3C (390mA) 程度の電流にとどめるのが無難でしょう。

 テストでは 1A 近い電流も流してみましたが、電流供給能力はあるものの内部抵抗が高いようで、電池の端子電圧がかなり低くなりました。また 2C 程度の電流を流しつづけると、電池は暖かくはないが冷たくないという程度の発熱を感じました。

 平均 2.5C(330-340mA) ほどの電流を流して電池の端子電圧が 3.0V になるまでの電池放電容量を実測したところ 88mAh でした。定格容量(0.2C での放電容量)の 2/3 ほどになり、リチウムイオン電池のときとほぼ一致する値となりました。この電池を初期 1C の電流で充電したところ、充電完了までに 90mAh 充電され、放電容量とほぼ一致する結果となりました。充電完了時の電池端子電圧は 3.95V とリチウムイオン電池の 4.2V を下回った値を示しました。

 テストには 1 セルリチウムイオン電池でも使えるように改造した Astro Micro-Meter を使いました。リチウムポリマ電池はまだ専用の充電器がないので、初期充電電流が 130mA になるように携帯電話の充電器に直列抵抗(33Ω)を入れて調整し、充電を行いました。容量測定には実際にスピコンを接続して送信機のスロットルスティックで電流を調整しました。従って PWM による平均電流となっています。

 リード線を電極に半田付けしたあと、電極タブを 180 度折り曲げて電池本体のアルミ外装に沿わせるときに、予め絶縁テープを外装に貼っておきます。電極は何度も折り曲げないようにします。特にプラス電極は出口付近がアルミ箔だけなので気をつけます。電極を外装に沿わせたら再度上から絶縁テープを電極を保護します。心配ならその上からシュリンクチューブを被せるといいでしょう。タイトル画像では配線を保護するために、幅 5mm ほどに切ったシュリンクチューブを電池中央部に被せてあります。電池重量は本体 3.6g と配線類 0.3g で合計 3.9g になりました。


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2002/07/08 inserted by FC2 system