E-Tec80 Li-Polymer battery charger

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E-Tec80 専用充電器の製作
 インドアエアプレーンに使う電池は小型軽量なリチウムポリマ電池が主流です。中でも Kokam の 140mAh 容量の電池は 20g 前後の飛行機に多用されています。 10g 前後の飛行機を作るとなると電池の重量がコネクタとケーブルを含んで 4g ほどになるため、電池の占める割合が大きすぎます。さらに軽量な電池もあるのですが、 45mAh と容量が急激に少なくなり流せる電流にも大幅な制約がでてきます。

 もう少し軽い電池があったらなあと思っていたら最近 E-Tec の 80mAh という願ってもないサイズの電池が出ました。ちまたでは 5C 放電で使えるとも聞いています。早速調達してコネクタとケーブルを繋いでみました。重量は 2.35g と軽量です。ところがこの E-Tec80 を充電するための最適な充電器がありません。通常 Li-Polymer 電池は 1C 以下で充電します。手持ちの充電器では最低が 100mA です。充電できなくはありませんが長い間この電流で充電を繰り返すのはよくありません。

 ところでこの E-Tec80 、調べてみましたが海外では 90mAh と呼ばれているのでしょうか。 80mAh という容量の電池は見あたりません。 10mAh の容量の違いで 2 種類の電池が出ているとは考えにくいのですが、私が調達した電池には "80" と印刷されています。いずれにしても 80-90mA で充電できる充電器が必要になります。

 いろいろ調べているうちにぴったりの充電用 IC を見つけました。 Linear Technology の LTC4054L-4.2 です。以前リチウム電池の充電のためにいろいろと IC を調達してあった中に LTC4054L-4.2 があったのです。標準で 90mA の充電電流となっています。外付け部品も抵抗とコンデンサの二つだけ。しかも抵抗値を変えるだけで 10mA から 150mA までの設定が可能です。電圧は 4.2V±1% の精度があり、充電電流モニタ出力もついています。

90mA の充電電流設定用の抵抗値は 1.69kΩとなっています。ぴったりの抵抗はないので 3 本の抵抗 (1kΩ + 470Ω + 220Ω = 1.69kΩ) を組合せました。回路図には表示がありませんが、充電表示の LED は電源 + から IC の 1 番ピンに抵抗を通して接続します。今回は電流制限抵抗に 470ohm を使いました。充電が完了すると LED が消えます。本来は USB ポートから充電できるようになっていて電源電圧は 4.35V から 5.25V となっています。飛行会場での充電を考えると 5V の AC アダプタを使うのが最も手軽です。電源の無いところでは大容量のニカド電池 4 セルを使ってもいいでしょう。

 飛行会場に持って行く荷物はできるだけ少ないほうがいいので、充電器も軽くて小さいことが重要です。手元に使わなくなった携帯電話の AC アダプタがあり、かなり小型なので使えるといいなと思いまた。ところがよく見ると出力電圧が 5.8V なっています。そこで規定電圧範囲になるように直列に整流用ダイオードを 1 本入れることにしました。ダイオードの順方向電圧降下はおよそ 0.6V あるので 5.2V ほどの電圧になるはずです。 IC そのものは最大電圧が 6.5V となっているのでダイオードを入れなくても大丈夫だとは思いますが、やはり入れた方がいいでしょう。充電器の構成が決まったので早速プリント基板を作りました。プリント基板の作り方は[AVR/PIC Learning] の「簡単なプリント基板の作り方」に載っています。

 早速部品を半田付けしてできあがりました。 IC だけ銅箔面に載っています。電源電圧は基板の入力部で 5.76V 、ダイオードのカソード側で 5.11V でした。早速電池を繋いでみましたが充電表示の LED が点灯しません。よく調べてみたら充電電流制御用の抵抗が IC の 5 番ピンと GND につながなければならないのに GND ではなく電源の + につながっていました。パターンの作成ミスでした。なんとそそっかしいことか(いつものことです)。仕方がないのでパターンをカッタナイフでカットして GND にジャンパ配線しました。今度は OK です。と思ったらなんと 1uF のコンデンサを付け忘れていました。大晦日にテレビに耳を傾けながら作ったのがいけなかったのかもしれません。下の画像ではまだ 1μF のコンデンサがついていませんがあとでつけました。充電器を作ってみようという人はくれぐれも間違っている上のパターンで作らないように。


 充電電池を接続するための JST コネクタを基板に半田付けしてあります。 AC アダプタからのケーブルを保護するため、基板凸部にケーブルを糸で縛って瞬間接着剤で固定しました。全体をシュリンクチューブで保護して完成です。

 最後にデータシートから 45mAh と 140mAh のリチウムポリマ電池を充電するための抵抗値を計算してみます。 Rprog=150/Ichg の計算式を使います。 45mA の電池では 150/0.045=3.34kΩとなり、 140mA の電池では 150/0.14=1.07kΩとなります。

 充電器の製作に必要な主要パーツはIndoor Airplane World e-shopで取り扱っています。


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2004/01/01
2005/09/14 充電ICの調達先を変更 inserted by FC2 system