無尾翼ミニプレーンの製作 1

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発泡スチロール翼の製作
かねてから発泡スチロール翼を作ってみたいと思っていて、 安食さんのHPに載っていた 簡易スチロールカッターを作って実験をしていました。 今回は機体の大きさから、初めて発泡スチロールで翼を作るのにぴったりです。
商品の梱包等に使われている発泡スチロールの比重を計ってみましたが、 およそ 0.012-0.021 程度であることがわかりました。 この発泡スチロールを使って、翼幅 460mm 、翼弦 200mm 、翼型 E184(8.33%)の翼を作ると、 翼断面積約 21cm2、体積 966cm3となり、比重 0.012 を使った場合約 12g 、 比重 0.021 を使った場合約 20g になります。

発泡スチロールを切り出したままの翼を使うことができればリブ組みフィルム貼りの翼より軽く仕上がりそうです。
果たして発泡スチロールだけの翼が強度を維持できるかどうか心配ではあります。 何事も実験して確かめるしかありません。

いよいよスチロールカッターのためのリブ型の製作になります。幸い「ラジ技」にリブ型の作り方が載っていたので参考にし、すでにスチロール翼の機体を何機か手がけている岸田さんに切り出し方をお聞きしました。舟地蔵もいろいろな電動機を手がけている仲間が多くなってきたので、情報交換の場としての役割も大きく、私もおかげさまで沢山の情報をいただいています。感謝!

実は、無尾翼ミニプレーンに決定する前に、すでにクラーク Y で画像のように翼型を作っていました。 今回の機体は矩形翼なので翼型上面の切り出し用に2枚、下面(といっても平面)の切り出し用に2枚の リブ型が必要になります。 CAD で原寸プリントアウトしたリブ型を、 1.5mm ベニヤに貼りつけました。翼弦が 140mm 、カッターワイヤーのガイド部分を前と後ろに 20mm ほど用意し、リブ型の 長さを 180mm にしました。 4 枚のベニヤを重ねて左右に 2mm のドリルで穴をあけ、 2mm ネジと ナットで締め込み、翼型上面部をヤスリで削りました。次に翼下面用のリブ型 2 枚を重ね合わせ、 同様加工します。両方のリブ型ができたら 4 枚とも重ねてネジ止めし、発泡スチロールにとめる虫ピンの穴を 0.8mm のドリルで 5 ヶ所にあけました。

スチロールカッターは 0.28mm のステンレス線を 550mm ほどの長さで作りました。 この状態で約 15V の電圧を印加したときに 1.5A ほどの電流が流れ、比較的スチロールのカット具合がいいように感じます。

切り出した左右の翼は、発泡スチロール用瞬間接着剤で接合すればエポキシ接着剤を使うより軽く仕上がりそうです。
ところがこの発泡スチロール用瞬間接着剤の入手先がわかりません。これまた安食さんにお聞きして、 Odorless タイプの瞬間接着剤なら大丈夫ではとの情報をいただきました。 早速ヒロボーの ZAP-O(目にしみない)と PLASTI-ZAP(プラモデル用)の 2 種類を近くの ホビーショップにお願いして取り寄せてもらいました。

ありあわせの発泡スチロールから切り出した短い翼でテストしてみました。幅 75mm ほどの翼 2 枚を ZAP-O で接着してみました。中粘度なので多少時間がかかりましたが問題無く接着することが でき、接着後の強度もまったく心配ない状態に仕上がりました。ついでにこの翼でテスト用の 超小型無尾翼ハンドランチをつくってみました。翼幅 150mm 、翼面積 2.4dm2、 アスペクトレシオ 0.9 、 7g のこの機体、舟地蔵の土手から手投げしてみましたが、これが結構よく飛びます。 今まで製作した無尾翼機はエルロンがかなりマイルドなのでもしかしたらアスペクトレシオ 1 程度の 機体の方がエルロンの効きもよく十分飛ぶのではと思ったりもします。 400 クラスの機体マジでつくってみようかなあ...。

とまあ、テスト機の飛びに気をよくして急遽無尾翼ミニプレーンに変更する気にもなったわけです。 翼型、翼弦を変更したので新たにカット用の型を作ることになります。 もう少し簡単に型が作れたらいいなと思っていたところ、READING EDGE の菊池さんから 0.3mm のアルミ板を型に使っている情報をいただきました。片面にのりの付いたアルミ板を使って いるようですが、ホームセンターで見つからなかったため、手元にあった 0.4mm のアルミ板を 使ってみました。 CAD で出力したリブ型紙にスコッチ 77 を塗布してアルミ板に貼付け、はさみで 1mm ほど大きめに切り、やすりで仕上げました(タイトル画像)。
いよいよカットです。下面リブ型を先に発泡スチロール両端にあてますが、その時に両面テープを左右に貼って、外側のリブ型をはずしたときにずれないようにしておきます。次に上面リブ型をあてて、下面リブ型と一緒に虫ピン5本で固定します。
発泡スチロール上面に重し(「ラジ技」一冊程度)をのせます。 スチロールカッターのワイヤーを手前からリブ型のガイドに軽くのせて左右の平行に注意しながら ゆっくり送っていきます。これで翼上面が切り出せます。 つぎに、外側の上面リブ型だけを外します。下面リブ型に虫ピンを元どおり差し込みます。 続いて翼下面をカッターで切り出します。アルミの型を使用する場合は、カッターの温度を気持ち高めに設定しないと、アルミに熱を吸収されてしまい発泡スチロールの端がきれいにカットできないことがわかりました。 1.5mm ベニヤで型を作ったときは、はさみでカットすることができず大変だったので、次回は 1mm ベニヤで作ってみようと思います。

今回は有り合わせの発泡スチロール(比重 0.021)を使った結果、両翼で約 20g もの重さになってしまいました。少し上反角をつけて ZAP-O で接着しました。強度面では丈夫過ぎるという感じです。比重の軽い 0.012 のスチロールをカットした翼では、翼後縁部がかなり弱く、そのまま使うのに不安を感じました。プランクしない翼を作る場合は、強度と重さの両面から満足できる発泡スチロールの比重を選択する必要がありそうです。

 


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