WD3 の製作

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軽量化を意識してパーツを製作
 製作目標である 8g の飛行機を飛ばすのに必要なモーターユニットの推力はどの程度必要でしょうか。 シミュレーションからは 3.2g あれば水平飛行が可能です。初期値で最大 5g ほどの推力があれば十分でしょう。しかし小さなユニットで 5g の推力を得るのは結構大変です。

 いろいろとテストした結果、 3.5x2 (89mmx50) のプロペラと 5mm (10.7ohm) のページャーモーターを 60:9 のギヤ比で使うことにしました(タイトル画像がそのユニット)。 E-Tec80 で初期値 3850rpm、 230mA、 4.8g の推力が得られました。プロペラ軸に 1mm のピアノ線を使い軸受けにテフロンチューブを使っています。プロペラ装着部分には外径 2mm のロッドガイドを 1mm のシャフトにかぶせ、内径 2mm で統一しているプロペラ穴の互換性を保つようにしてあります。プロペラを挿入したときのフリクションだけで固定する方法を採用していますが、プロペラが軽いので 30g ぐらいまでの飛行機ならこの方法で全く問題なく使うことができます。プロペラ挿入時のフリクションは楊枝の先に付けた瞬間接着剤をプロペラの軸穴に塗ることで調整します。モーターユニットとプロペラで 1.5g 表示になっていますが、テストで使ったケーブルとコネクタが不要になるので外したところ、天秤での実測でモーターユニットが 1.28g 、プロペラが 0.14g でした。

 プロペラは時間があるときにこつこつと作っています。このプロペラも以前作ってあったものでモーターユニットにセットして静止推力を実測しました。その結果から逆算してプロペラ係数を割り出し、プロペラに書き込んでおきます。あとは回転数を測るだけでそのときの推力が計算できるので便利です。このプロペラの係数は 38 です。静止推力 = (プロペラ直径(インチ)/10)3 x プロペラピッチ(インチ)/10 x (回転数(rpm)/1000)2 x プロペラ係数(k) で計算できます。今回の実測回転数から静止推力は 0.353 x 0.2 x 3.852 x 38 = 4.83g となります。

 ここで巻胴を作りました。 4mm のカーボンパイプに巻いて作りますが、今回は 0.5mm 厚のバルサを使ってみました。 250mm ほどの長さで 5mmx3.14=15.7mm 幅のものを切り出しお湯に浸して柔らかくしたあと 4mm のカーボンパイプに巻き付けました。ちょうど一周するようにバルサ板の幅をカットし、細く切ったマスキングテープを巻き付けて暖房機の温風の吹き出し口にしばらく放置して乾燥させました。その後テープを取り除いてカーボンパイプから抜き取り、バルサの合わせ目を瞬間接着剤で固定しました。再度カーボンパイプを挿入し、サンドペーパーで周りを磨きました。使う予定より少し長めですが 0.2g と軽量な巻胴ができました。

 今回は受信機を新しく作ります。受信機のパターンは最新の FET ドライブタイプ。両面の銅箔を含めて 0.23mm というとても薄いプリント基板を使って 10mmx12mm の受信機基板を作りました。 8 ピンの DIP タイプの PIC との比較してみましたが、とても小さいことがわかると思います。基板だけで 0.07g です。部品の半田付けには少々気をつかうので、受信機の製作は後回しにします。

 ここでマグネットアクチュエータのコイルを巻いてみました。 WD2 の時には 0.04mm のワイヤーを 400 ターン巻いて 100ohm のコイルになりましたが、今回はもう少し軽くしたいのと FET ドライブ受信機を搭載するので低抵抗のコイルが使えます。そこで 0.04mm のワイヤーを 300 ターン巻いてみました。内径 3.8mm、幅 3mm で 60ohm のコイルが巻けました。コイル 2 個で 0.1g 。マグネットは外径 3mm で長さ 2mm (0.1g) のものと 1.5mm (0.08g) のどちらかを使うつもりです。

 後回しにするつもりでいた受信機は、今までにない軽量なマグネットアクチュエータが実用になるかどうかをテストしなければならないため、急いで仕上げました。赤外線センサーもレンズ部分と周りを削って軽量化しました。モータへのケーブルは当初電源ケーブルと同じビニール被覆ケーブルを使いましたが、導体断面積を計算してあとから 0.1mm ホルマール線を 3 本撚りにしたものに変更して軽量化しました。電源コネクタケーブルとモーターへのケーブルとセンサ 1 個を含む受信機の完成重量は 0.68g です。

 早速 0.04mm で巻いた 60ohm のコイルと 3mm丸x1.5mm のマグネットを組合せて作った水平尾翼のトルクをテストしてみました。画像はエレベータアップ時のもので十分実用になるトルクを実感できました。このテストではモーターへのケーブルにビニール被覆ケーブルを使っています。

 コイル 2 個 0.1g + 3mmx1.5mm マグネット 2 個 0.16g + IRXA302-3 受信機 0.68g = 0.94g 。なんと 3 チャンネル赤外線受信機のシステム重量が 1g を切りました。

 水平尾翼と垂直尾翼にも比重の大きい Styrofoam GK を使って 1mm の厚さになるまでサンドペーパーで削りました。水平尾翼も垂直尾翼も組み立て前にコイルとマグネットを取りつけます。 Styrofoam へのコイル、マグネットの取り付けが少々面倒です。コイルの取り付けにはスチノリを使い、あとからボンドサイレックスで補強しました。マグネットアクチュエータを取りつけた状態で尾翼は 0.5g です。

 車輪を作りました。今回は 0.3mm のピアノ線を脚に使っています。車輪は 1mm バルサの 2 枚重ねで軸受け部には 0.4mm の航空ベニヤで作った極小のワッシャーを両面に貼り付けてあります。脚の完成重量は 0.16g 。今回作った巻胴にテープで仮付けしてみました。

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2004/01/17 inserted by FC2 system