Indoor-plane A-1 更なる軽量化

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 24.4g の A-1 はもうすでに軽量化の余地が残されていないと思っていました。しかし軽量化の鬼は少しでも軽くできそうなところがあればみのがしません。(笑)

 今回は受信機に目をつけてみました。RX5-2.3 受信機をよくみると、他の受信機とは違ってデコーダ IC に 8 ピンの PIC が使われています。 4 チャンネル分の JST コネクタがついていますが、出力は全部で 5 チャンネル分あります。

 いままでは受信機の出力にスピードコントローラとマグネットアクチュエータドライバをつないで使っていました。 Futaba の送信機を使用しているので 1 チャンネルにラダーを割り当て、 3 チャンネルがスロットルになっています。

 発想の転換を図り、受信機に搭載されている PIC を、デコーダ内蔵、マグネットアクチュエータドライバ内蔵、スロットルチャンネル出力つきの PIC に換装してしまえば、外付けのマグネットアクチュエータドライバが要らなくなると考えました。その分軽くなるはずです。

 実際に改造したのがこの受信機。スピードコントローラを接続するための JST コネクタ以外は取り外してしまいました。代わりにマグネットアクチュエータを接続するピンを追加してあります。マグネットアクチュエータドライバは従来の左右各 8 ステップから一挙に左右各 14 ステップときめ細かくなったものを搭載しています。改造受信機の重量は 2.2g になりました。 0.4g の軽量化ですが、外付けドライバが不要になる分全体ではもう少し軽くなるはず。

 8x4 のバルサプロペラも 0.6g まで軽くしました。ぶつければどうせ壊れてしまうので、ぎりぎりまで削り込んでみました。

 モータユニットもギヤダウン機構を見直すことにしました。モータが 4g でモータユニット完成で 5.7g あります。使っている内径 2mm のベアリングは 2 個で 0.4g あります。ベアリングの質がよくないためか 2mm カーボンシャフトはスルスルと滑らかに回ってくれません。

 そこでこのギヤダウン機構を大幅に変更しました。シャフトに 1mm のピアノ線を使い、ベアリングも内径 1mm のものにしました。今までの 2mm 穴のプロペラが共用できるように、 1mm シャフトの上に外径 2mm のロッドガイドを被せました。ベアリングホルダは以前山尾さんに作ってもらったアルミパイプを使いました。スパーギヤはいままでのものを使いましたが、今回はその厚さを 2/3 ほどに薄く削りました。

 新たに作った組み立て前のギヤ。右が今まで使用していたプロペラホルダ。スパーギヤは着脱式にしました。スパーギヤに取り付けたロッドガイドは 1mm のシャフトに程よい固さで挿入できます。ベアリングはオープンタイプで軸もスルスルと軽く回ります。組み上がったモータユニットは 5.3g (ショットキダイオードとケーブルを含む)と以前より 0.4g 軽くすることができました。

 初めて搭載した自作スピードコントローラは、プログラミングの未熟さからフルスロットルとちょっと手前との間に段差があります。ぎりぎりのパワーで飛行させているため、この段差が微妙なコントロールに影響を与えていました。そこで新たに設計しなおしたスピードコントローラに載せ替えました。今度のスピードコントローラは最スローからフルハイまでリニアにスロットルが変化します。重量は 0.9g (ケーブル含む)と以前と変わりません。新たに作ったモータユニットとスピードコントローラです。

 涙ぐましい努力によってここまで軽くできました。 5% の軽量化がその飛行にどのように影響してくるか気になるところです。

 2002/08/10 藤沢市六会市民センター体育館で軽量化後のフライトを行いました。外は猛烈な蒸し暑さでしたが、地下 2 階にある体育館はいつもより涼しい感じがしました。ギヤユニットを変更していますが、受信機もスピードコントローラも今までのものとは違っています。いつものように手投げしたところ飛行機は大きく揺れ、上下にも激しく変動します。何とか 2 周ほどしましたが飛ばしていられません。なんとエアコンが効いていてダクトからの吹き下しの影響を受けていたのです。

 エアコンを止め、そのままの電池で 2 度目のフライトを行いました。今度はすこぶる順調な飛行です。 18 分の飛行時間を確認したあと、着陸のときにプロペラを破損してはいけないと思い、初めてのハンドキャッチを試みました。ところがプロペラが目の前を通り過ぎたあと胴体をつかもうと飛行機の後を追いかけたまではよかったのですが、結局飛行機をつかみ損ねてしまい着陸にも失敗。プロペラホルダが脱落してしまいました。プロペラの破損を免れたのは幸いでした。

 1.2g の軽量化は飛行時間に絶大な効果をもたらしました。今回直線飛行ではフルスロットルにする必要はなく、旋回時にフルスロットルを使う程度で十分高度維持ができました。帰宅後の電池の充電量から平均 220mA ほどの電流で飛んでいたことがわかりました。 A-1 もほぼ完成の域に達した感がありますが、今後も更なる研究を重ねていきたいと思います。

翼幅 (Wingspan) 473mm
全長 (Length) 495mm
翼面積 (Wing area) 4.47dm2
全備重量 (Weight) 24.4g -> 23.2g
翼面荷重 (Wing loading) 5.5g/dm2 -> 5.2g/dm2
受信機 (Receiver) JMP RX5-2.3 40MHz 2.6g
-> RX5-2.3 Mod. 2.2g
(include magnet actuator driver)
アクチュエータコイル(Actuator coil) Hand made 170ohms
0.45g
アクチュエータマグネット(Actuator magnet) Neodymium 5mm(D) x 3mm(H)
0.45g
スピードコントローラ (ESC with wires & connector) Micro01 Hand made 0.9g
-> Micro02 Hand made 0.9g
モータユニット (Propulsion unit) Coreless (9:1) 5.7g
-> Coreless new unit (9:1) 5.3g
プロペラ (Propeller) Hand made 8x4 (Balsa) 0.8g
-> (shaved) 0.6g
電池 (Battery) 140mAh Li-Polymer 4g
最大静止推力 (Max thrust) 13g (at 0.26A)
飛行機重量 (Air frame) 8.6g
(Wing 4.5g, Fuselage 3.0g, tail 0.8g + 0.3g)
その他(輪ゴム等) (Rubber band) 0.7g


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2002/08/12 inserted by FC2 system