A-1 2 号機に巨大プロペラ装着

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10 インチの巨大強ピッチプロペラを作ってみました
 インドア F/F 機のプロペラ回転をみるたびに、超スローなプロペラ回転に魅力を感じていました。前回 8 インチのプロペラでかなり低速回転で飛ぶ快感を味わい、さらに遅い回転のプロペラで飛ばしてみたくなりました。

 今回はインドア F/F で使われるプロペラの作り方を参考にして新たにプロペラを作りました。 F/F 機とは飛行重量の違いから強度的な面を考慮してやや丈夫な作りとしました。ブレードは 1mm のバルサを 0.5mm の薄さまで削り、 100mm の筒に 15 度傾けて貼り付けて作りました。プロペラ半径位置で 45 度のピッチがつくように作ったので、およそ 16 インチのピッチになります。今までの電動飛行機の常識からは考えられないほど大きなピッチになりますが、スロー回転で飛ぶインドア F/F では一般にピッチがプロペラ径を上回る設定で作られているようです。

 早速 45:1 のギヤ比に 4mmx10mm のブラシタイプの pager motor (16ohm) をセットして回してみました。 45mAh リチウムポリマ電池で初期 300rpm (150mA) で回りました。なんと毎秒 5 回転という超スロー回転です。プロペラスピードで約 2m/s になります。 7m ほどの距離が確保できる家の中で飛ばした感じでは十分な推力があります(直線飛行のみ)。ところが静止推力を測定してみると 2.2g と驚くほど少ない値でした。ピッチレシオが 1:1.6 ともなると静止推力だけでは判断できないことがわかりました。

 モータ単体の重量は 0.7g 。ギヤユニット全体で 1.6g 、プロペラが 0.5g です。ピッチが強いので反トルクが結構あります。

 インドア F/F 機ではプロペラのトルクを打ち消すために、主翼左右の面積を非対称にしているようで、今後インドア R/C でもこのあたりを考慮した飛行機作りが必要になるかもしれません。

 A-1 は長い時間をかけて軽量化に取り組んできました。軽さが飛行機の飛び方を大きく変える事をこの飛行機を通して学びました。ゆっくり回るプロペラとの融合もとてもすばらしいと感じていますが、大きなプロペラをゆっくり回すのはそう簡単ではありません。小さいモータほど一般に回転数が高いので、減速比を大きくしなければならないからです。大きな減速比を持つギヤユニット、大きなプロペラ、どちらも軽量化には不利ですが、このあたりはインドア F/F に学ぶべき点が多くあると考えています。

 飛行会までに時間があったので、インドア F/F のサイトに載っているバルサ骨組みのプロペラ画像を参考に、 1mm 角のバルサ棒を骨組みにしたプロペラも作ってみました。こちらは厚手のボール紙でブレードの形状を切り出して、その周囲に水に浸したバルサ棒を添わせて形を整え、 77mm の筒に巻き付けて乾燥させ、間を補完するリブも同様筒に巻き付けて作りました。リブを接着し終わったブレードを再び水に浸した後、2枚のブレードを重ねて再度筒に巻き付けて乾燥しました。

 ブレードは 2 ミクロンのフィルムをしわ貼りし、プロペラスパーは 2mm のバルサ板から切り出して、テーパーに仕上げたものを中央でつなぎました。プロペラ半径位置で 45 度の取り付け角になるように治具を使ってブレードを接着しました。

 10 インチと巨大なプロペラにもかかわらず 0.33g と超軽量なプロペラで、できあがったら思いのほか丈夫になりました。ブレード面積はバルサ単板で作ったものより大きくなっています。モータユニットと組み合わせても 2g 以下です。

 こちらは初期で 290rpm (140mA) とさらに遅い回転数になりました。毎秒 4 回転以下で水平飛行ができそうです。なんとなくインドア F/F のプロペラといった雰囲気になってきたと思うのは私だけでしょうか。このプロペラを装着してみると A-1 2 号機の主翼が丈夫すぎるように思えてきました。

 2003/05/18 に潮風アリーナで行われた飛行会で両方のプロペラを装着してテストしました。バルサ枠組みのプロペラはブレード面積が大きい分遅い回転数での飛行が可能でしたが、反トルクの影響が大きく、左旋回は問題ないものの、右旋回はやっとでした。バルサ単板で作った方のプロペラの方が右旋回もでき、安定した飛行ができました。両者の比較では後者のバルサ単板のプロペラのほうがマッチしているようです。いずれにしても A-1 には 10 インチのプロペラが限界かもしれません。これ以上大きなプロペラを装着するにはインドア F/F に見られるような主翼のオフセット等飛行機製作時からの配慮が必要なようです。

 潮風アリーナの飛行会前日、川崎の等々力アリーナで行われた F1L と F1M の競技会を見学してきました。檀上さん、野中さん等世界のトップレベルが参加したインドア F/F の世界を目の当たりにし、目から鱗が何枚もはがれ落ちました。プロペラはバルサをカンナで削りだしたすけすけのブレードを使うなどとてもインドア R/C では考えられないレベルですが、 F1L の飛行を見る限り、今回の A-1 のプロペラ回転数もいいところまできているなと感じます。今後少しでもインドア F/F の技術をインドア R/C にも生かして超低翼面荷重の分野も研究していきたいと思います。


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2003/05/20 inserted by FC2 system